こんにちは。TsutayaPです。
先日、かつて所属していた京都大学書道部がどんなところかについては書いてみました。
その流れで、自分がかつて書いた作品も一覧にして、かつごく簡単に振り返っておきたいと思ってしまったのでこの記事を書いています。
もはや誰も興味ない気もするのですが、見たい方は是非ご覧ください。
目次
1回生
旧帝展@京都
臨書『高野切第三種』(大字仮名)
この頃はまだ地元で通っていた教室にも行っていたので、そこの課題をそのまま作品にしました。楽できるかなと思ったわけです…。
慣れてもいない上に大して練習もしていないので出来がひどいです。
記念すべき初作品なのですが、まあ舐めていたと言わざるを得ません。笑
冬樟展
創作『百龍図』(篆書)
この作品が書きたくて入学したと言っても過言ではない作品。
元々目を奪われたのは『百寿図』で、『百福図』と並んでこの系統では有名なやつです。
似た系統で被らないものを探した結果、『百龍図』になったという背景があります。
真ん中や落款の出来はさておき、今見ても全体的にはよく出来ている作品だと思います。*1
臨書 鄧石如『四体帖』(篆書)
4人で1枚ずつ書くという合作です。
元々楷書くらいしか書けないマインドでいたのですが、僕より明らかに書けてそうな(そして情熱に溢れた)人がいたので、いわば余り物の篆書に挑戦したのですが、割と必死に練習したこともあってそこそこの出来になりました。
この数ヶ月は上の『百龍図』と合わせて篆書漬けの日々を送り、結果的にこの後の作品の方向性を決めることとなりました。
全員が割と真面目に練習したので、全員悪くない出来です。
2回生
初夏書展
臨書『曹全碑』(隷書)
篆書ばっかりだと飽きてくるので、隷書も書いてみたいなと思って書いた作品。
中でもこの『曹全碑』は元からいいイメージを持っていたので選んだのですが、こんなにも臨書するのが難しいと思いませんでした。
形はそこそこ取れていると思うのですが、なんか違います。特に拓本は個人の解釈が重要になるということを感じました。
臨書『中山王セキ方壺』(金文)
これも大学入学前から書いてみたかった作品です。
富士急の高飛車というアトラクションもこんな字体で書かれていた気がします。
無知ながら、ようやく知った「老灰紙」という色がついた紙を使ったのですが、うまくハマりました。
まずまず満足のいく作品です。
旧帝展@福岡
創作『ぼくドラえもん』(漢字仮名交じり)
旧帝展というのは言わば自らの存在を宣伝するための場所と思っていた*2ので、好きなドラえもんを作品にしました。
印もそれらしいのを彫っていて、暇な時間を精一杯生かしている感じがします。
これも出来はまずまずという印象で、何より周りのウケが良くて嬉しかった記憶があります。
響都展
創作『長恨歌』(隷書)
清代の書家でその特徴的な書きぶりが有名な楊峴(ようけん)という書家がいますが、それが俄に部内で流行り出した頃に書いた作品です。
臨書もしていないのに創作をするというのは無謀で、まあひどい出来。
左は別の人が書いていますが、ぶっちゃけ自分(右)よりひどい気がします。笑
文言もなぜこれを選んだのかよく覚えていません。
確か持ってきてもらったものをそのまま受け入れたのだったと思います。
創作『越前和紙合作』(隷書)
合宿を福井県のあわら温泉でやったことがあるのですが、その時に買ってきた越前和紙を使って書いた作品です。
5枚しかなかったと記憶しているので、ほぼ一発書きですね。
いわゆるエセ漢文で他己紹介文作って、書いた後相手にあげるという粋な発想でした。
私が書いたのは一番右。
「曹全碑」を頭に置いて書いているのですが、この前に書いたやつよりは少しマシになっている気がします。
NF書展
創作『一週間』(金文)
SHISHAMO「明日も」から着想を得た作品。
あとはなんか金文を書いてみたいというのもありました。
自分なりに配置を結構考えて実行に移した記憶があるのですが、今見ると大した出来じゃないなと思います。笑
NF(学園祭)なので、誰もが見て楽しめそうという意味ではいいのかもしれません。
冬樟展
創作『愛酒詩』(金文)
制作意欲はもう少しあったのですが、場所の関係から基本的に1人1作品となったので、この作品に割と懸けていたと記憶しています。
紙も1枚1000円くらいの高級な金色の紙で、初の二八作品。気合入ってますね。
文章は坂本龍馬から取っているはず。今でも満足いっている作品の一つです。
創作『風楓夜泊』(隷書)
当時副部長という役職に一応いたので、部長と作品作るかという流れになって書いたもの。
2回連続を予定していて、1回目は部長持ち込み、2回目は私持ち込みという算段でした。
下の作品では上の2文字を私が書いています。楊峴を意識した隷書ですが、以前より少しはマシになっています。とはいえひどいことに変わりはありません。
行書部分の出来も会心ではないでしょうが、私担当部分よりはいいと思われるので…責任は私にありますね。笑
3回生
初夏書展
臨書 楊峴 『白鶴道人』(隷書)
今まで散々適当にやってきた楊峴を割とちゃんと臨書した作品。
晩年に近いこともあって、楷書に近いのも好みです。
確か初めて布表装に挑戦したのもこの作品で、気合が伺えますね。
落款にも若干の成長が見られ、ようやく上回生らしい作品になってきたかなという気がします。
創作『游雲驚龍』(篆刻)
篆刻をやってみたいという思いだけで、でかい石を買ってきて適当に彫ってできた作品です。
その道の方が見れば基本もなっていなくてひどいのだとは思うのですが、素人目線で「それっぽい」作品ができたことに満足しています。
落款の「刻」という文字とその下にある小さな落款印の方がよほどうまいという説もあります。
創作『祇園』(大字仮名)
部長副部長合作の第2弾。こちらは私の持込企画。
京都っぽい作品にしたくて、漢字や和歌を選んできました。
左上の字そのものは割と好きです。私は仮名を書いていますが、少なくとも1回生最初の作品よりは進歩を見られます。
それでも調和がいまいちなのは…私の不出来かそもそもの構成がよくなかったのだと思います。
こうして見返してみると、悔しさが沸いてくる気がしないでもないです。
創作『花鳥風月』(篆書)
実は副部長が3人いるという過剰配置なのですが、部長も合わせた4人でやった合作です。それぞれの色が違うのを生かして、不調和を調和に変えてしまうという力技がコンセプト。笑
こうして見ると意外と悪くない出来になっています。むしろいいまである。
左から2枚目が私。しばらく篆書というものを真っ向からは書いていなかったので、久しぶりの挑戦でしたが、まずまず収まったと思います。
旧帝展
創作『のび太』(漢字仮名交じり)
この頃に書道部へのフルコミットは終わり、バイトへとシフトして行ったのを覚えています。
前年はドラえもんを書いたので、今年はのび太にでもしておくかという安直な発想で作った作品です。
時間がなかったのか字も絵もいまいちで、前年のドラえもんの方がよっぽど出来が良かったなと思います。
響都展
創作『西瓜』(隷書/金文)
緑の表装に黄色の紙を合わせたら西瓜みたいだなと思って書いたのがこれです。
隷書もずいぶん上達してきても、これも悪くない出来だと思います。
ただ、どこかで一文字抜かすとかいう痛恨のミスを犯しているはずで、それだけが心残りです。
NF書展
創作『平成』(漢字仮名交じり文)
平成が終わるという話を聞いて、発想した作品です。
この頃から自分自身の活動の終わりも意識し出していて、今しか書けない作品をいかに作り出すかということに重きを置いていたと思います。
右の字は「平成」発表時の文字を臨書したもの。
左の漢字仮名交じり文も自分にしてはよく書けているのかなと。もっともうまい人が書けばもっとうまいですが。笑
冬樟展
臨書 徐三庚『出師表』(篆書)
バイトがクソ忙しい時期だったので、1作品だけの出品でした。
久しぶりの篆書臨書なのですが、それはこの篆書に惚れ込んだのが理由です。
必ずや翌年度の創作に生かせると思って書きました。
枚数はこなしていないのですが、いい練習になったということですね。
4回生
初夏書展
創作『令和』(隷書/篆書)
いよいよ令和になったということで、それらしい作品にしました。
右側は「令和維新」、左側は令和の原典を書いています。
紙にもこだわっていて、字も悪くないので、全体的にそれなりなのかなと思います。
まあ、これだけ書ければ「上回生クオリティ」と胸を張ってもいいでしょう。多分。笑
旧帝展
創作『文學部』(隷書/篆書)
もうドラえもんシリーズはネタ切れということで、アイデアをひねって「文学部」をテーマに創作しました。
「思想/歴史/言語文化/行動科学」というのは、まさに京都大学文学部が掲げている4分野ですね。
こういう種類の篆書と隷書を書くことにハマっていた時期ですが、書けば書くだけクオリティも安定してきている気がします。
バカの1つ覚えも悪くないなと思うわけです。
NF書展
創作『張り看板』(草書/隷書)
この頃、京都市の観光条例で大学周りの立て看板が禁止されるという話が注目されました。
その時事ネタを取り入れて「自由の学風」を主張したのがこの作品です。
字の元は楊峴隷書ですが、ずいぶんマシな出来になってきました。
一回臨書しておけばそうは事故らないのだなと、いい経験をしました。
これもまずまず気に入っている作品です。
冬樟展
臨書 黄庭堅 『出宮賦』(行書)
行書とか草書という、いわば書道の王道を避けてきたのですが、最後の最後くらいは書いてもいいのかな(多少下手でもいいだろう)と思って書いたのがこちら。
元々、黄庭堅のようなかっこいい行書に憧れていたので選んでみました。
加えて、巻子をやったことがなかったのでこれも初挑戦。
根性でものにしました。書いてなかったとはいえ、4年間の書道鑑賞の経験が大分役に立ったようです。
創作『校訓』(行書/草書/隷書)
扇子合作だったのですが、何か思い出に残る言葉を選びたくて、我が高校の校訓にしてみました。右から「進取/敢為/独創」と書いています。
なかなか悪くなかったのですが、何かの機会に同じ高校出身の知り合いにあげてしましました。
まあ持っていても仕方ないので、こういう作品が1つくらいあってもいいかなと思います。
創作『斜陽』(篆書/仮名)
自らの卒業制作として、集大成にすべくかなり力を入れて制作した作品です。
私は下2つを書いています。
篆書はいわゆるオーソドックスなもの、仮名はいつもの適当流です。
字の出来はともかく、表装をいいものにして頂いたので「映え」という観点では非常に満足しています。
これがあったからこそ、悔いなく卒業できたというわけです。
おまけ
創作『雲従虎』(篆書)
コロナでうまく開催できなかった書展への無念を晴らすべく、2022年2月に開催された書展。せっかくなので自分も出させてもらいました。
実家から出ていて部屋が5畳しかなかったのと、書道用具・モチベーション不足もあり、手軽に書ける色紙作品となりました。
寅年を意識して言葉を選んでいるのですが、書き慣れていた篆書ということもあって、まずまず見られる作品にはなりました。
このお手軽感が良くて、部屋に常設しています。笑
篆書/隷書に傾注した理由
端的にいうと、楷書・行書・草書といったいわゆる王道では「勝てない」と感じたからです。
この思考の大元には、陸上でぼこぼこにされて書道に活路を見出そうとしたことがあります。*3
行草は元から書けないという意識があったので楷書くらいはと思っていたのですが、それも同期(部長)によって早々に打ち砕かれてしまいました。
残っていたのは、ほとんどの人が取り組んでいないニッチな「篆書」。これがたまたま当たりで、書くのがゆっくりで形を取るのは得意な私には向いていたのです。
最初の1年間で篆書にしっかりと向き合ったおかげもあって、何とかものにすることができました。そこから派生して隷書にも取り組んだ結果、これも楽しくて見事にどハマり。結果オーライですね。
王道で他の人と被るくらいなら、ニッチでも我が道を行くというのが私の基本的な考えで、この書道部での経験も経てより強化されたように思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
興味がある方は以下も是非ご覧ください。